IBM THINK – ハイブリッド・クラウドと、どこでもWatson

2019年2月にサンフランシスコで開催された、IBMのカンファレンスTHINK。私は「ハイブリッド・クラウド」と「どこでもWatson」が二大メッセージだととらえました。ほとんどの主要セッションがビデオ公開されてますので、見てみましょう。

まずはトップの写真のIBM会長ジニー・ロメッティーの基調講演。「デジタル化の波は第二章に突入」しビジネスのデジタルへの真のトランスフォーメーションが始まっているというメッセージでした。

https://www.ibm.com/events/think/watch/replay/120138988/

その中の動きとして表現したのが「outside-inとinside-out」。outside-in、つまり外的な市場動向から必要となるデジタル・サービスの提供と、inside-out、つまり企業内にある基幹システムを新たにデジタル対応にしていく事の二面性の両方が重要。それらのアーキテクチャーを策定する事でビジネスが変革できるというものです。確かに私の案件も最近、デジタルなイノベーションを提供するサービス構築と、基幹システムのデジタル化対応の両極化していたので、この表現はたいへんしっくりきました。

その実現のために発表されたのが、https://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/54745.wssWatson Anywhereつまり「どこでもWatson」です。これまでIBMが提供するAIは、IBM Cloud上で稼働するWatsonがメインでした。これを今後は、企業内のオンプレミス・システムでも稼働し、さらに他社のクラウドでも稼働できるようにするというものです。様々なクラウドと企業内オンプレの両方で活用する、まさにAIのハイブリッド・クラウド化です。

その好例としてステージに上ったのは上の保険のガイコ社のCIO、グレッグさん。IBM Watsonを活用し、個々のお客様向けにパーソナライズされたデジタル・サービスで差別化できたと語りました。

そしてクラウドの第二章が「ハイブリッド・クラウド」。いよいよ企業の基幹システムを様々なクラウド環境で稼働させるようになるというものです。そのためにはセキュリティやコンプライアンスが必須になるとも話しています。既に様々な世界的企業が、IBMと共に基幹システムのクラウド化を開始しているという話がありました。

また、そういったクラウドや基幹システムを含むハイブリッド・クラウドのEnd to Endでの構築サービスをIBM Servicesが提供すると発表されました。これは複数クラウド活用における、クラウド戦略のコンサルティングから、クラウドへの移行、クラウド開発、アーキテクチャー構築、統合管理などを含みます。また、これらクラウドを活用したイノベーションの共創(co-creation)をIBM Garageとして提供します。これらはまさに日本では私自身のミッションとなります。

また、そのような環境のための製品として様々なシステム間接続を実現する「IBM Cloud Integration Platform」を発表しました。これは従来のESBやAPI関連製品を統合するものです。また、複数クラウドを一元的に管理する製品が「マルチクラウド・マネージャー」です。複数のクラウドを一つの画面から管理し、ボタン一つでアプリケーションを好きなクラウドで実行してくれます。

ハイブリッド・クラウド実現に欠かせないのは、IBMとRed Hat社の協業です。上の写真のように、Red Hat CEOのジム・ホワイトハーストさんも登壇し力強く協業について語っていただきました。特にこれからは、アプリがハイブリッド・クラウドのどこでも動くようになるコンテナとKubernetesのテクノロジーが重要になるとのこと。複数のクラウドやオンプレの全体を効率よく活用していくためには、オープンなテクノロジーが必須になりますよね。

また、昨年IBM主催で開催された災害予防アプリの世界的コンテスト「Call for Code」ですが、今年は「Code and Response」として26億円投資することが発表されました。