IBM@NY – ニューヨークのIBM拠点

ニューヨークにあるIBMの各拠点を回ったので、ご紹介します。米国IBM本社はニューヨークのアーモンクというところにあります。上の写真の建物で、さすが荘厳な佇まいではありますが、いわゆる我々がニューヨークでイメージする、マンハッタンとは少し離れた場所になります。以下の地図を見てください。

地図の下の方にあるマンハッタン島に比べ、アーモンク (Armonk)は地図の中ほどにあります。そのため宿泊も前半はホワイトプレーンズ (White Plains)という町を拠点にして、そこからアーモンクなどに移動しました。アーモンクにある米国本社の中のロビーは以下のようになっています。我々以外にはほとんど人もおらず、かなり静かです。建物の周りも森のようで、シカやリスが普通に歩いているような場所です。日本企業の本社とはかなりイメージが違いますが、IBMの首脳陣はここから近くにある空港にプライベート滑走路を持ち、そこからプライベートジェットで世界を飛び回っていると聞いて、納得です。

今回のニューヨーク出張は、「IBM Technology Institute (ITI)」という日本のお客様をニューヨークのIBMの各拠点にご案内し、IBMの今後の戦略や最新のテクノロジーについてご紹介するというプログラムで、それに同行させていただいたものです。初日はこのアーモンクでIBMの今後の戦略についてお伝えするという内容で、この後4階のボードルームに移動してそちらでRed Hat社買収の意義とその後の戦略などの話が米国IBMの首脳陣からありました。そのボードルームは、毎四半期ごとにIBMのGinni Rometty会長から決算発表を実施して世界に配信する由緒ある部屋なのですが、撮影はNGだったため掲載する事はできませんでした。

翌日のツアーは、IBM Researchの総本山である、ヨークタウン (Yorktown)の Thomas J Watson Research Center です。WatsonはもともとIBMの創始者の名前ですが、AIのWatson同様、IBM研究所の総本山の名前もWatsonとなっています。ビルは以下のように3階建ての大きな美しい円筒形になっています。

最初に、このWatson Research Centerの中にあるThink Labで様々なIBM研究所の最新技術を見せていただきました。様々な物質や液体の成分を即座に分析し、ワインまでも真贋をチェックしてくれる”Visualizer”や、最新のBlockchain技術について話を聞けました。また、アメリカ人だけでなく、アイルランドの方など様々な国籍の方が説明してくれたのも印象的でした。

次はこのWatson Research Centerの中のツアーです。2011年にAIブームの火付け役として有名になった、アメリカのJoperdy! というクイズ番組で人間のチャンピオンに初めて勝ったAIのWatsonの実物が置いてあり、当時の様子を詳細に説明してもらえます。

また、以下のようにその時のクイズの回答席で記念撮影ができるコーナーもあります。研究所にしてはサービス満点ですね(笑)。それだけWatsonは、IBM Research全体にとって重要な金星だったことがわかります。

さらに、IBM Q という世界初の商用量子コンピューターも見学する事ができました。周囲の振動が伝わらないように美しいシルバーの筒が上から吊り下げられており、後ろには巨大な冷却装置が付いており絶対零度に近い-273度に保たれていました。こちらはまだ撮影NGとの事で掲載できませんが、以下のようにその内部構造の模型で解説員の方がその冷却機関について説明してくれました。金色に光っているのが無酸素銅という特殊な銅で、上からヘリウムを浸透させていく事で一番下の量子が入っている部分を冷却します。

世界最先端の量子コンピューター IBM Q の実物を目の前で見る事ができて、貴重な体験ができました。IBMの本拠地、ニューヨークならではですね。ただ、いよいよこの量子コンピューターも初めて海を渡って、日本の東大に設置される予定です。楽しみです。

3日目に訪れたのは、今回のツアーでは最北のポケプシー (Poukeepsie)です。以下のようにハドソン川というニューヨーク州を縦断する美しい川のすぐそばにある広大な敷地にある、IBM Z、つまりメインフレームの総本山です。

最初は以下のように「Z」の文字が象徴的な IBM Poughkeepsie Executive Briefing Center でIBM Zの最新技術動向について聞き入りました。IBM Z といえばやはり全てのデータを丸ごと暗号化してしまう「全方位暗号化」がポイントですが、その暗号化されたデータが、IBM Z のメインフレームから外に出しても暗号化されたままで、使う時だけ IBM Z が制御して暗号を解けるようになるという最新暗号化技術について聞き、参加者一同なんでそんな事ができるのか?と説明員に詰め寄るようなシーンもありました。

IBM Zの最新技術を聞いた後は、このポケプシーの広大な敷地の大部分を占める、メインフレーム工場の見学をしました。こんなにあるのかと驚くほどの数のメインフレームがマシンルームに並べられており、膨大な数のテストでチェックされていく様子を見る事ができます。一つずつのマシンを一年近くかけてテストしていくそうで、こうやってメインフレームの信頼性が守られているのだと感じました。

4日目は、ニューヨークの wework に移動しての、IBM Garage見学です。日本の IBM Garage も GINZA SIX の wework が拠点ですが、ニューヨークも同様で、ニューヨークの新スポットになりつつある ハドソンヤード (Hadson Yards) 近くのビルの wework でした。

wework のシェアオフィスの中は日本と同じような雰囲気で、ソファーがあってコーヒーやビールが飲み放題なのも同じでした。

ミーティングルームが、黒フチのガラス張りなのも似ていますね。この中で IBM Garage のリーダーから活動内容を紹介してもらいました。アメリカでも、wework などを使って普通のオフィスから飛び出して、いつもと少し違う環境でリラックスして新しいアイデアを出し合う事が重要視されているとの事でした。

IBMガレージの次は、IBMのAIである、Watsonの本拠地、アスタープレース ( Watson Astor Place) に移動しました

入り口の、ウン十億円と言われる赤いバルーンのオブジェが目印です。

中から外を見ると、見えるビルの多くは学校などが多く、文教地区になっているそうです。確かに、学生さんらしい人が多いです。AIを勉強している学生さん達に IBM Watson に入っていただくためですかね?

建物の中には以下のようなオシャレなバーもあり、コーヒーなども自由に飲めます。説明は先進的な設備でAIの最新動向の話を聞けましたが、撮影はNGのため興味のある方はぜひアスター・プレースにお越しください。

この日からは、マンハッタンの Parker というホテルに移動しました。セントラルパークに近い、Hyatt系の近代的なホテルです。入ってすぐ1Fの受付の横に以下のようなカーテンで仕切られている一角があったので、何かと聞いたら、ガイドブックにも載っている有名なハンバーガー・ショップ Burger Joint との事。実際に食べましたが、おいしかったです! でもこんなカーテンで仕切られていたら、知らないと入れないですよね・・確かに良く見ると奥にハンバーガーのネオンがあるし、人もたくさん並んでいましたが・・。

ちなみにこのホテルの朝食は、Norma’s という1階のレストランで食べられますが、ここの エッグベネディクト (Eggs Benedict) が名物で、パンケーキの上に卵が乗っててこれは超おいしかったです! お勧めです。

ホテル Parker はセントラルパークが近いので、お散歩しました。しかし、散歩というには広すぎて、迷子になりそう・・でしたが、目印の不思議の国のアリス像があって、助かりました。セントラルパークの周囲にある、超高級マンションを眺めているだけでも、楽しいですね。

そのセントラルパークの中ほどにある、メトロポリタン美術館に入ってみました。外見も以下のような荘厳な作りですが、中も世界中の有名な絵画や、南米の民族のお宝など、とても一日では周りきれないくらい充実しています。ちなみにさすがIBMはニューヨーク州の優良納税者のためか、IBM社員は社員証を見せたら無料で入れます。同行者も一名までは無料になるので、お客様と一緒に入りました。

個人的には、彫刻が素晴らしかったと思います。以下はメドゥーサの彫刻。

またIBM関連としては、このメトロポリタン美術館の中に以下の Thomas J Watson Library という図書館があり、 多くの貴重な資料が保存されています。

ニューヨークで印象的だったのは、ホテルの近くの トランプ・タワー ですね。トランプ大統領のビルという事で、多くの人が写真を撮っていました。旬な観光スポットになっています(笑)

また、少し時間があったので皆さんと観光もできました。ブルックリン橋の近くまで行ったところで、ニューヨーク水上タクシー乗り場があり、そこから船に乗る事で自由の女神も海から間近に見る事ができました ($19)。やっぱりこれを見ると、アメリカに来たなという実感が湧きます。

おなじ水上タクシーからマンハッタンを見たところです。

以下はブルックリン橋の下をくぐるところです。1883年に竣工したとのことで歴史ある橋ですが、とっても味わい深い橋という事で今また人気のスポットになっているそうです。

グランド・ゼロも見てきました。9.11 の惨劇の跡がだいぶ復旧してきていると感じましたが、白い花を供えている人も居て、風化させてもいけないなと思いました。

米国IBMの各拠点ツアーと、ニューヨークのいくつかのスポットをご紹介しました。この IBM Technology Institute の海外ツアーは毎年企画されておりますので、IBMのお客様はぜひご参加ください。日本とはスケールの違うIBMの大きさを感じていただけると思います。

IBM THINK – ハイブリッド・クラウドと、どこでもWatson

2019年2月にサンフランシスコで開催された、IBMのカンファレンスTHINK。私は「ハイブリッド・クラウド」と「どこでもWatson」が二大メッセージだととらえました。ほとんどの主要セッションがビデオ公開されてますので、見てみましょう。

まずはトップの写真のIBM会長ジニー・ロメッティーの基調講演。「デジタル化の波は第二章に突入」しビジネスのデジタルへの真のトランスフォーメーションが始まっているというメッセージでした。

https://www.ibm.com/events/think/watch/replay/120138988/

その中の動きとして表現したのが「outside-inとinside-out」。outside-in、つまり外的な市場動向から必要となるデジタル・サービスの提供と、inside-out、つまり企業内にある基幹システムを新たにデジタル対応にしていく事の二面性の両方が重要。それらのアーキテクチャーを策定する事でビジネスが変革できるというものです。確かに私の案件も最近、デジタルなイノベーションを提供するサービス構築と、基幹システムのデジタル化対応の両極化していたので、この表現はたいへんしっくりきました。

その実現のために発表されたのが、https://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/54745.wssWatson Anywhereつまり「どこでもWatson」です。これまでIBMが提供するAIは、IBM Cloud上で稼働するWatsonがメインでした。これを今後は、企業内のオンプレミス・システムでも稼働し、さらに他社のクラウドでも稼働できるようにするというものです。様々なクラウドと企業内オンプレの両方で活用する、まさにAIのハイブリッド・クラウド化です。

その好例としてステージに上ったのは上の保険のガイコ社のCIO、グレッグさん。IBM Watsonを活用し、個々のお客様向けにパーソナライズされたデジタル・サービスで差別化できたと語りました。

そしてクラウドの第二章が「ハイブリッド・クラウド」。いよいよ企業の基幹システムを様々なクラウド環境で稼働させるようになるというものです。そのためにはセキュリティやコンプライアンスが必須になるとも話しています。既に様々な世界的企業が、IBMと共に基幹システムのクラウド化を開始しているという話がありました。

また、そういったクラウドや基幹システムを含むハイブリッド・クラウドのEnd to Endでの構築サービスをIBM Servicesが提供すると発表されました。これは複数クラウド活用における、クラウド戦略のコンサルティングから、クラウドへの移行、クラウド開発、アーキテクチャー構築、統合管理などを含みます。また、これらクラウドを活用したイノベーションの共創(co-creation)をIBM Garageとして提供します。これらはまさに日本では私自身のミッションとなります。

また、そのような環境のための製品として様々なシステム間接続を実現する「IBM Cloud Integration Platform」を発表しました。これは従来のESBやAPI関連製品を統合するものです。また、複数クラウドを一元的に管理する製品が「マルチクラウド・マネージャー」です。複数のクラウドを一つの画面から管理し、ボタン一つでアプリケーションを好きなクラウドで実行してくれます。

ハイブリッド・クラウド実現に欠かせないのは、IBMとRed Hat社の協業です。上の写真のように、Red Hat CEOのジム・ホワイトハーストさんも登壇し力強く協業について語っていただきました。特にこれからは、アプリがハイブリッド・クラウドのどこでも動くようになるコンテナとKubernetesのテクノロジーが重要になるとのこと。複数のクラウドやオンプレの全体を効率よく活用していくためには、オープンなテクノロジーが必須になりますよね。

また、昨年IBM主催で開催された災害予防アプリの世界的コンテスト「Call for Code」ですが、今年は「Code and Response」として26億円投資することが発表されました。

Innovation – 中国からのイノベーション

中国に出張で行って、イノベーションが日本よりもかなり先行しているので驚きました。まず以下のコンビニ。普通の商品陳列棚のようですが、よく見ると商品一つ一つに紙のようなタグが上についています。これによってレジでの精算が不要な店舗です。

「京東X先人超市」と呼ばれる店舗で、中国の直販型EC業界でトップの京東商城(ジンドン)が出店している赤い看板が目印のコンビニです。Amazon Goのような形態ですが、もうすぐ500店くらいになるそうです。大連のうちの会社の近くの店舗を貸し切ってもらったのでゆっくり見られたのですが(メンバーに感謝!)入り口にはまず以下の看板が。

アプリをダウンロードして、自分を登録せよという事のようです。中国では日本よりもかなりキャッシュレスが進み、ほとんど皆さん WeChat(ウイーチャット)などを使ってQRコードで買い物の支払いをしていますが、中国の銀行に口座を持ってないとできないとのこと。現金支払いはできないということで、現地の人のスマホを借りて入店しました。

商品に付けられているタグを透かしてみると、以下のようなアンテナ状のものが見えました。いわゆるRFIDタグで無く、こちらで商品を検知するようで、今は一つ数円。近い将来は一つ1円になる予定とのことでした。

お店を出る時はAmazon Goとちょっと違って、以下の顔認証エリアを通って出る必要があります。どうもここで顔認証で本人特定され、何の商品を持ったか電波でチェックされ、精算されるようです。お店の人に聞いたら、特に今までトラブルは無かったとのこと。

既にこんなイノベーション店が多数展開されているとは、先進的ですね。日本だと何か電波の通らない袋に入れたらどうなんだとか、顔認証で双子だったらどうするんだとかで心配なのでもう少し様子を見よう・・となりそうですが、中国ではこういうの、まずやってみよう、ダメだったら考え直そうと進めているようです。 続きを読む Innovation – 中国からのイノベーション

WeWork – 共同オフィスで ガレージによる共創

米国発の共同オフィス「WeWork」がついに日本に上陸したので、早速我々「ガレージ」チームでオフィスを借りました! 場所はなんと「GINZA SIX」。オフィスの逆側のドアを開けるとすぐトップの写真の屋上庭園にも出れる13階のオシャレなスペースです。オフィス側の入り口は以下の通り。

この扉を開けると(メンバーズ・カードが必要)、以下のような共同スペースになっています。そこで様々な企業やフリーランスの人が自由な感じで働いています。メンバーはここで無料のコーヒーやビールを飲むこともでき、他企業の人とコミュニケーションができる素晴らしいスペースです。

様々な企業の人がお互いに刺激しあいながら、場合によっては共同で何かを創りあげることもできる、まさに共創 - Co-creation の場ですね。しかも、ソファや畳もあって、日々きれいな銀座の夜景も見れるオシャレなスペースなので、ここで良いアイデアが生まれないわけがありません。

ということで我々IBM Garageチームも以下のオフィス・スーエースを借りてこちらで様々なお客様とのコラボレーションを開始しました。

ガレージとは、昔Apple社やMicrosoft社が家のガレージの空きスペースでモノ創りを始めてから大企業に育ったように、まずは小さいチームで作ってみて、それを大きく育てていきましょうというコンセプトのチームです。従って、新しいイノベーションを生みそうなテーマに限定し、通常のオフィスを離れ、デザイン思考やアジャイルの手法によりクイックにアイデア出しとプロトタイプ構築をすることでスモール・スタートを実現するプログラムです。

我々もお客様も、大きな企業から一旦離れ、ガレージでモノ創りをするとから始めましょうというコンセプトです。私がリードすることになりましたので、これからどんどん様々なお客様とガレージでのイノベーション共創をしていきたいと思います!

 

Cloud – クラウドネイティブ開発とは何か? マイクロサービスとの関連

最近よく 「クラウドネイティブでの開発とは?」 とか 「マイクロサービス開発のポイントは?」 ときかれるため、先日講演した内容についてご紹介します。クラウドの活用が広がり、その最適な開発方法に関心が高くなってきていますね。

クラウド・ネイティブとは

クラウド・ネイティブな開発とは、つまりクラウドで動かすのに最適化されたアプリを開発する事。通常のアプリ開発とどこが違うのでしょうか?クラウド・ネイティブなソフトウェア開発を推進している団体、「クラウド・ネイティブ・コンピューティング・ファンデーション (CNCF)」 で確認してみましょう。

Home Page

以下のリンク先にあるように主要なクラウド企業はほとんど参加し、様々な推進活動が実施されています。

Members

では、クラウド・ネイティブの定義は何でしょうか?
このCNCFのホームページの以下のFAQに 「What is Cloud Native?」 が分かりやすく記述されています。

FAQ

要約しますと、以下のように書かれています。

「クラウド・ネイティブ技術は、パブリックやプライベートもしくはそのハイブリッドなクラウドの新しいダイナミックな環境において、スケーラブルなアプリケーションの構築と稼働を実現します。コンテナーやサービス・メッシュ、イミュータブル・インフラストラクチャー、マイクロサービスがその典型的なアプローチです。

これらの手法によって、対障害性があり管理され可視化された、疎結合なシステムを可能にします。オートメーションと組み合わせることで、エンジニアは頻繁な変更を最小限の労力で可能になります。

CNCFはこの新しいパラダイムの適用を、オープンソースのエコシステムとベンダー・ニュートラルな製品により推進します。」

はじめての人には少し分かりにくいと思いますので、私なりに補足して解説します。まずクラウド・ネイティブ技術の適用環境ですが以下ように図で表してみました。

上記にありますように、クラウド・ネイティブなアプリケーションとは主に、Dockerなどの「コンテナ」化されており、Kubernetesなどの「動的オーケストレーション」技術で動的に構成される、「マイクロサービス」化されたアプリケーションが典型的と言われています。これはCNCFホームページの「What is CNCF?」にも書かれています。これらは現在のクラウドを支える主要な技術なので後でじっくり記述します。

その前に大切なのは、「What is Cloud Native?」にあるように、これらのクラウド・ネイティブ技術は、いわゆるパブリックのクラウドのためだけにあるわけではないという事です。クラウド・ネイティブなのにクラウドだけでないというのはやや逆説的ですが、コンテナやオーケストレーションはサーバーを迅速かつ柔軟に構成するためのたいへん優れた技術であるため、パブリック・クラウドだけでなく、オンプレのプライベート・クラウドでの活用も盛んになっています。オンプレであっても、クラウド技術を活用したいというユーザーが増えているためです。その事で、今はパブリック・クラウドでは不安があるアプリケーションも、まずはオンプレのプライベート・クラウドで稼働させてから後からそのコンテナをパブリックにそのまま展開する・・・といった自由な選択が後から可能になります。

クラウド・ネイティブ技術

では、その他の主なクラウド・ネイティブ技術を以下に紹介します。

【コンテナ化】
アプリなどの各要素をLinuxコンテナとしてパッケージすることで、再現性・透過性・環境独立性を実現します。Docker社のコンテナが主流で、既に様々なクラウド環境でサポートされています。特徴は、従来の仮想化と異なり、パッケージの中にLinux OSを含まないため軽量(サイズが小さい)で迅速なサーバー立ち上げが可能です。

【動的オーケストレーション】
コンテナの複数サーバー(クラスタ)への配置を自動的にスケジュールし、リソースの活用を最適化します。主流はオープンソースのKubernetesで、元々はGoogle社が自社の膨大なクラスタを管理するために作成したもので、現在は多くの企業が開発に参画しています。

【API】
APIは、アプリケーションの対外インターフェースであり、従来のライブラリのAPIと区別するために、Web APIと呼ばれることもあります。通常のWebのプロトコルであるhttpでデータを通信する「REST」に、「JSON」と呼ばれるデータ形式でやり取りします。

【サービス・メッシュ】
アプリケーションが、後述のマイクロサービスで細分化され、多くのAPIでやり取りされるようになると、n対nの膨大なメッシュができ、さらにそのバージョンを区別したいと思うと管理が複雑になります。このようなサービスのメッシュの管理を容易にするサービス・メッシュが必要になります。その主流はGoogleやIBMなどが開発している「Istio」です。

【イミュータブル・インフラストラクチャー】
直訳すると、変えないインフラという意味ですが、いわゆる塩漬けでそのまま使い続けるという意味ではありません。本番のインフラに対して継続して様々な設定を変更したり、パッチを当てたりすると再現困難な環境になる事があります。現在動いている本番環境に変更を加え新しい本番環境を作りこんでいくのではなく、例えば新しい本番環境をイチから構築し、そちら側にサーバーをスイッチしていくようなイメージの方式です。

これらのクラウド・ネイティブ技術は、従来のシステム構築のパラダイムをシフトさせるべくクラウド環境から発展してきました。が、そういった優れたテクノロジーをオンプレ環境で使わない手はないため、今ではオンプレでも共通的に使われるようになっています。

マイクロサービス

クラウド・ネイティブの技術、最後は「マイクロサービス」です。マイクロサービスは、技術というよりは設計手法になります。細かくサービスを分割するマイクロサービスに対し、対極にあるのは「モノリシック」です。従来のアプリケーションでは、様々な機能が一つのモジュールに固められ、そこからアクセスするデータも複雑にからみあった大きな一枚岩になっているものもあります。しかし、機能同士が密結合になっているため、頻繁に変更を繰り返す顧客接点のアプリなどではビジネスのスピードについていけないケースがありました。マイクロサービスではこれを細かい単位に細分化することで防ごうという設計コンセプトです。

マイクロサービスでは、一つ一つのコンポーネントの単位を疎結合にすることで、個々のバージョンアップや問題の修正を容易にします。これまでモノリシックでは、一つの機能を変えるのに全体の機能を再テストが必要になる可能性がありましたが、マイクロサービスはそれぞれを独立させることで、影響を最小限にします。

特に以下のようにアプリとデータをセットで分割し、それを複数のサーバーで立ち上げることで、問題の所在を局所化させ、個別の更新を容易にします。マイクロサービスの中の機能が直接他の機能を呼び出すと密結合になってしまいますので、基本的にサービスはAPIを介して呼び出します。

このことで、個々の機能のバージョンアップをする際や、問題が起こった際に修正を適用する際などに、全体に影響が派生せず個々のマイクロサービスの更新で済むため維持・運用が容易になります。

このマイクロサービスの設計の考え方は実は以前のSOAの経験を生かしてモダナイズする形で作られています。SOAは企業内のシステムを疎結合化し、ESBと呼ばれるバスで接続する形態でした。マイクロサービスは、特に顧客接点などのインターネット上のアプリに着目し、よりクイックにサービスを構築、より頻繁な更新が可能になるように考えられています。が、これまでのSOAでの設計経験が生かせる方式でもあります。

 

ThinkPad X1 ワイヤレスタッチマウス、買って良かった

見た目に惹かれて、ThinkPad X1 ワイヤレスマウスを購入。思ったより良かったです。Lenovoのオンラインサイトで見て、結構格好イイと思ったのと、携帯用に軽量・コンパクトで薄いマウスが欲しかったので思いきって買いました。(LenovoオンラインでPCと一緒に買ったせいか、定価の半額近い税抜5,400円)

一週間で送られてきて、箱を開けたのがトップの画像。縦に一本赤い筋が入っているのがThinkPadらしいデザインでいいですね。箱の中にはThinkPadデザイナーからの想いのコメントが入っていましたが、デザイン的にはかなり力が入った製品のようです。

どれくらいコンパクトかというと、iPhone7と比べると、以下の感じ。手の中にすっぽり納まる程よい小ささです。

薄さは以下の感じ。通常のマウスに比べるとかなり薄いですが、鞄に入れて持ち運ぶのにこれくらいの薄さのが欲しかったのです。

上の画像のように、縦に4つLEDがついていて、電源オン時や充電時に光って充電状況を表示してくれるところも格好イイです。

思ったよりもよかった・・・と書いたのは、実は事前にネットでいくつかコメントを読んだところいずれも、「ちょっと触っただけでクリックしてしまう」「クリックがしにくい」といった書き込みだったのでちょっと不安だったのですが・・・。実際に使ってみたところ、そのような事はなかったです。2018年1月にUpdateが入ったようなので、改善されたのかもしれません。

表面の赤い縦筋「タッチ・スクロール・ストリップ」を上下にタッチすることで、上下のスクロールが可能になります。慣れると思ったようにスクロールできるようになります。音がしないところは良いですね。この部分もそうですが、このマウスは軽くて繊細なので、全体的に優しく触ってあげることが大事です。

クリックは、左クリック、右クリックとそれなりにしっかり反応してくれます。ボタン型というよりは、本体が沈み込むタイプなのでちょっと慣れがいりますが、これも慣れてくればそれなりに快適。思ったよりちょっとクリック音が大きかったですが。

マウスの裏は以下のとおり。真ん中に左右の矢印と平たいエリアがありますが、これが「タッチ」マウスとしてのポイント。マウスをひっくり返してこの平たいエリアを触ると、タッチパッドと同様にマウスが動きます。タップもできますが、ジェスチャー(スクロールや拡大)はできません。二本指タップすると、右クリックとなります。また、真ん中の左右の矢印で、パワポのページを行き来できます。これはプレゼンテーションの時に便利です!

上の画像の真ん中少し上にマウスの受光部がありますが、これはマウスのスイッチをオフにするとフタが閉まる構造になっています。これは受光部保護のために賢いやり方ですね。

左下にあるのがUSBケーブルのコネクタで、このように接続して充電します(電池式でなく充電式です)。充電しながらマウスが使うことができて、便利です。(これまでのマウスはそれができなかった)

右下にあるスイッチが、下がUSB無線のワイヤレスで、真ん中がBluetoothです。そう、USB無線と、ブルートゥースの両方が使えるのです。私はBluetooth派なので、スイッチを真ん中にしました。ちょっと分かりにくいのですが、PCでBluetoothデバイスを検索するモードにして、このマウスのスイッチを上にしばらくプッシュすると、PCで認識してくれます。

重さは60g無いので、かなり軽く感じますね。これで出張も安心!

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IBM Think – ロボットがハンコを押すデジタル時代

6/11-12に IBM Think の日本のイベントが品川で開催されました。印象的だったのは、いよいよ AI や IoT といった最新テクノロジーが本格的に使われ始めたということ。一年前とはレベルの異なる、本格的な協業が進んでいます。一番印象的だったのは、安川電機さんのロボットとIBM Watson のコラボ。まずは以下のビデオを見てください。

なんと、銀行の窓口でハンコを押すロボットだそうです。クラウド上では IBM Watson が動いてIoTで上がってきたデータを分析します。が、銀行の窓口では規則でどうしてもハンコが必要な部分も残っており、窓口業務を効率化するために、プリントアウトされた紙をロボットが自ら取ってハンコを3回も押して箱にしまうという、この秀逸さ。まさに、物理的なRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、人の作業のデジタル化もここまでくると立派ですね!

健気にきちっと3ヶ所ずつハンコを押して、紙の半分を切ってそっと返してくれるロボット君が、かわいくてしょうがありません。

安川電機さんとはこの他にも、本格的に工場のロボットと、クラウド上の IBM Watson のコラボの本格的なシステムを構築していただいています。これからますます、工場も銀行もインテリジェントになっていきますね!

 

Tokyo2020 – 都市鉱山からつくる!みんなのメダル・プロジェクト

古くなった携帯やPCなど小型家電をリサイクルすることで オリンピックのメダルを作る「都市鉱山から作る!みんなのメダル・プロジェクト」。この活動で、オリンピック・パラリンピック合わせて金・銀・銅あわせて約5,000個のメダルを製作する予定とのことで、参加してみました。

各自治体に上の写真のような「使用済み小型家電 回収ボックス」がありますので検索で探してください。私は浦安市なので、浦安市ホームページの家庭ごみのところに情報がありました。このボックス自体は以前からあって主にレアメタルのリサイクルが目的でしたが、オリンピックまでの期間は特にこの都市鉱山プロジェクトでメダル用にもリサイクルされるようです。

というわけで、まずは「お宝」の入ってそうな家の小型家電を探索です。半日奮闘した結果、携帯が5個と、デジカメ1個、ノートパソコンが4台見つかりました。しかし、ノートパソコンの中のデータが消去されていたか心配に・・・。「水につけたら壊れるんじゃない?」ということで・・。 続きを読む Tokyo2020 – 都市鉱山からつくる!みんなのメダル・プロジェクト

IBM Think – Blockchainの使い方が広がる

IBMのイベント Think 2018 にて様々な Blockchainのセッションに参加しましたが、仮想通貨だけでなく様々な分野に活用が広がっている事が分かりました。一番大きかったのは、トップのイメージのMaersk(マースク)社との国際貿易Blockchain。海運業者であるMaersk社とIBMで合弁会社を作り、世界中の貿易会社や港湾局をつないで、貿易の効率化を図るとのことです。

国際貿易はまだ、その20%は紙の手作業で取引を管理しているそうで、Blockchainを使うことでかなり効率化できると。確かに様々な国をまたがって取引を電子化しようと思っても、なかなかシステムを統一することは難しいと思われますが、そこでBlockchainを活用することで情報の共有化を実現するのは良いアイデアですね。

仮想通貨のビットコインの基盤テクノロジーとして有名になったBlockchainですが、こういった企業間の情報のやり取りの効率化や証跡の取得に活用することで今後さらに利用範囲が拡大しそうです。次に大きかった事例は以下の「Food Trust」。

上のような世界的な食料品会社が参加しているとのこと。その中で Walmart社の人が登壇して説明してくれましたが、食物が農家で作られてから、船などで運ばれ、Walmartなどの店頭に並び、各家庭のテーブルに乗るまで、どのような経路で届けられたか、これまで調べるのに一週間かかっていたものが数秒で分かるようになったそうです。

このようなシステムが普及すると、何かあっても原因の追究が即座にできるようになり、我々も安心して食材を口にすることができるようになりますね。

仮想通貨に近いですが、世界的な環境への取り組みとして紹介されたのは以下の「プラスチック・バンク」。世界的に問題になっている廃棄プラスチックを少しでも減らそうと、企業が出資して作られた仮想銀行です。最近廃棄プラスチックが海に流出しても完全に消えてなくならず、小さなマイクロプラスチックの粒になって魚に取り込まれることで、それを人間が食べるなど環境問題が深刻になっているため、この取り組みは重要ですね。

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IBM Think 2018 – イベントで見えた IBM Cloudの 方向性

IBM Thinkのイベント全体を通じて、IBM Cloudの一貫した方向性が感じられました。それは、企業向けのクラウド(Enterprise Cloud)として、Publicな通常のクラウドはもちろん、企業内のオンプレまでクラウド技術で統一し、全体のアーキテクチャーを考えていこうという流れです。クラウド技術とはいわゆるクラウド・ネイティブ・コンピューティングで、アプリをマイクロサービスで設計し、Docker等でコンテナ化して、Kubernetes等で展開・運用するものです。ご存知の通り、クラウドではこれにより疎結合で独立したアプリを作り、可搬性の高いパッケージとして保存し、容易にクラスターに展開したり、負荷が高くなるとオートスケールですぐにサーバーを増やすことができるようになります。

オンプレもクラウド・ネイティブ・コンピューティング

でもこれってクラウドのみでなく、企業内のオンプレのサーバーでも同じようなメリットを享受したいですよね。というわけで、クラウドで培われた以下の4つのオープンなテクノロジーなどを、オンプレでも活用できるようにする方向性です。

このことによって、クラウドとオンプレで別々のスキル育成をする必要も無くなりますし(最近はIT人材不足!)、クラウド・ネイティブで作っておいて、後からクラウドでもオンプレでも好きな方に展開できる利点もありますよね。クラウドが発展し、その優れたテクノロジー群が標準的になってきているので、確かにそれをオンプレでも使わない手はないと思います。

特にIBMは Kubernetes(外人は皆クーバーネティスと発音していた。略すとk8s)に力を入れてきており、オープンソースに人的にも貢献して、ほとんどのセッションでKubernetesの事について触れていました。IBMはコンテナをクラスターなどに展開するオーケストレーションを自動化するために、Kubernetesに賭けていますね。

クラウド・ネイティブな技術をオンプレでも使えるようにするIBM製品は「IBM Cloud Private (ICP)」ですが、上の日本語まとめ資料にもあるように、LinuxONEという、なんとメインフレーム(IBM Z)の上で動くLinuxの上や、IBMがサーバーを販売していない x86のIAサーバーもサポートすると発表されました。「どこでもクラウド」を徹底してますね。コンテナ化しておいて、とりあえず今あるサーバーでオンプレで動かしておいて、スケールアップが必要になったらクラウドに載せるとか、柔軟にできそうです。

また、上の資料にもあるように、クラウド上で提供する素のサーバーのベアメタルの上でもKubernetesが管理付きで使えるようになりました。企業ではまだまだ自分で基盤を制御できるベアメタルが人気なので、そこでKubernetes等で運用自動化できるとクラウドとも共通化できて便利ですね。

さらにこういったクラウド・ネイティブ化をサポートするために、Transformation Adviserにより、現在あるアプリをクラウドに持っていくにはどういった注意点があるかを教えてくれるツールも用意されました。これで持っていく時の難易度が分かりますね。また、従来のIBMソフトウェア製品である、WASやDb2、MQ、IIBなどもコンテナ化して提供される事になりました。これまたコンテナ化が徹底されています。

マイクロサービス

クラウド・ネイティブ・コンピューティングの潮流とともに、アプリをマイクロサービス化して構築しようという動きが大きくなってきていますが、このIBM Thinkイベントでもどのようにマイクロサービス化していくべきかといった議論が盛んでした。以下はその一つの例ですが、モノリシック(一枚岩)な大きな一塊のモジュールをコンテナ化したからといって、モダナイズとは言わないと。ちゃんとマイクロサービスで小分けしてお互いを疎結合にし、何度もデプロイできるよう自動化し、DevOpsで開発が回せるようにツールの流れも整備すること・・といったベスト・プラクティスが紹介されていました。

続きを読む IBM Think 2018 – イベントで見えた IBM Cloudの 方向性

IBM Think 2018 – AIはデータが鍵 – 目玉はWatson Studio

今回のIBM Think イベントに参加して明確になったのは、今後のITとビジネスの主戦場はAIとデータ分析であるということでした。もちろんこれまでもAIやデータの重要性は言われていましたが、Ginniの基調講演はもちろん個別セッションの数や熱気、そしてそこに参加する人の目の色が違いました。いわゆるDeveloperやData Scientist達から非常にSpecificな質問が繰り出されています。特にAIに関しては、IBM Watsonはもちろん、オープンソースのTensorFlowやCaffeといったものも適材適所で組み合わせて活用したり、高速な機械学習のためにGPUを使ったりするケースが増えてきており、後述の各ソリューションに関心が集まっていました。

全体的に同じ意見(by スピーカー&質問者)だったのは、あたり前ではありますが、AIにはデータが大事であること。上の資料にあるように、必要な量のデータが無ければAIにとってハシゴが無いのと同じ。あるセッションで「CxOの人は皆、AIがあれば何でも答えてくれると思っていて、データが必要ですと言っても取りあってくれない」と言ってそうだそうだと会場大ウケしていましたが、その様子からも世界共通なんだなぁと感じました。例えば以下のように、中心の機械学習(Machine Learning: ML)のコードに対して、周りでしなくてはいけないデータの管理や加工の方が面積は巨大で、機械学習なんて決まったエンジンを選んで学習させればよくて、問題はそこに突っ込むデータを作ったり、管理したり、機械学習で得られた結果のモデルを活用することだと語っていました。

ただ世界中の人が皆データが大事な事はわかっているんだけど、データをうまく管理できていない問題を抱えていることも分かりました。クラウドが増えているとはいえ、データの80%はまだ企業の中にあって有効に活用されていないと言われ、データを活用したいマーケティング部門やデジタル部門のデータ・サイエンティストがIT部門に依頼してもなかなかデータが出てこない・・・といった事象が話し合われていました。下図のように、パブリックなクラウドと、プライベートなクラウド、そして既存システムと企業のシステム構造が複雑になってきてデータが分散しているのも一因ではと思いました。

そこでIBMが出してきたのが、IBM Cloud Private (ICP) for DataIBM Watson Studio。クラウドとオンプレも含めデータ(ファイル、DB含め)をカタログ化し管理するICP for Dataと、そのデータをAIや分析エンジンを使って実際に分析の実装をする際に使うWatson Studioです。ICP for Dataの概要は、Thinkの日本人用共有セッションでまとめられていたように以下になります。

ICP for Dataのアーキテクチャは以下ですが、肝は下のEnterprise Data Catalog。パブリックなクラウドのデータも、オンプレのプライベート・クラウドも既存システムも、一元的にデータの場所を管理できます。そして分散されたファイルやDBのデータから、AIの学習などに必要なデータを適切に取り出し、成型することができます。

これらの話は、上の右下にいるIBM AnalyticsのGM、Rob Thomasさんが分かりやすく話してくれました。

ICP for Dataでデータを管理・成型し、AI Readyにしたら、次はそれらのデータを利用してAIに学習させます。そのAI構築のための、統合分析・開発環境が「Watson Studio」です。

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IBM Think – 基調講演で分かるIBMの戦略

今年のIBM イベント「Think」の最初の基調講演が開催され、IBM CEOのGinni Romettiが何名かのゲストもお招きして、IBMの戦略について語りました。Ginni本人の話も、ゲストの話も最大のメッセージは、お客様のデータの所有者は明確にお客様であり、そのデータによって信頼を得た上でAIなどで価値をもたらす事が重要であるということでした。IBMはデータをお客様の許可なく持ち出すことはせず、お客様のデータによってお客様がビジネスを行うことに貢献すると力強く語りました。ちょうどこの週は一部のSNS企業のデータ流用問題がかなり問題になっており、特にこのポイントに関して聴衆の関心も高かったと思います。

最初にGinniから話があったのは、大きく25年の周期でテクノロジーとそれによるビジネスの変革があったという話です。メインフレーム系に加え、オープン系のサーバーやインターネットが登場し、今さらにAIでビジネスが変わろうとしている変局点にあると。また、かつてはムーアの法則で半導体が1年半おきに倍に進歩していったが、今はWatsonの法則とでも言うか、AIが急速に進化していく時代。しかし、限られた数社の企業だけが勝ち続けるわけではない。多くの企業がこれから逆に破壊者(Disrupter)側になることも可能たといったものでした。そのこれからの主役は、会場の皆さんで、そのような先進的な取り組みの事例を紹介しましょうと語り掛けました。

これらは、昨年(InterConnect@LV)のデータは民主化しないという話からもつながっています。最近は数社のネット企業がSNSなどで一般の人のデータを集め、そのデータを活用して自分たちのビジネスを増殖させ、既存の会社を駆逐しているような話がよく新聞を賑わしています。そういったDistrupterに駆逐されるのではなく、各企業が、80%あるとも言われているまだ使われていない自社の貴重なデータを、AIなどで活用することでそういったDistrupterに対抗できる。IBMはそれをお手伝いしたい。というのがメッセージだと感じました。

IBMの姿勢としてもう一つ提示されたのが、人とマシンの共生です。人VSマシンではなく「人&マシン」であると強調していました。アメリカではかなり、AIが人の職を奪うことが問題視されていますが、人がマシンを使うことでもっとよくなれるというメッセージです。そのためにIBMは、お客様に使っていただくプラットフォームを提供します。そのためにAppleとの協業(後述)などを進めているという話です。

最初の事例は上のアメリカの通信会社、ベライゾン社のCEO Lowellさんから話がありました。デジタル時代に備え、年間$18B投資しているとのこと。特に次世代携帯網の 5Gは重要で、アメリカ全土に新しい光ファイバーをひいているそうで、ワイヤレスも最低ギガビットになり、第四次産業革命だと熱く語られていました。

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nikami.org – デジタル時代の自分デジタル化の軌跡