IBM InterConnect 2017 基調講演

IBM InterConnectの基調講演で、Ginni Rometty会長からクラウドを活用する上でのアーキテクチャーの重要性の話がありました。IBMの会長の基調講演で「アーキテクチャー」という言葉が聞かれるのは珍しいですね。会場は以下のラスベガスのホテル、マンダレイ・ベイでした。

クラウドはもうITの世界だけでの問題ではなく、世界全体を変えている、そのクラウドをうまく使いこなすためには、AIとデータを含めたアーキテクチャーが大事ですとメッセージしました。

Watsonの音声や自然言語認識などのコグニティブ技術、機械学習(Machine Learning)などのAI技術は、これからますます発展し知識が蓄えられます。そうするとそのデータへのアクセス制御や、企業ごとの知識ベース(コーパス)のしっかりした分離をすることで、セキュアな環境にしていくことが必須です。このデータの扱い方が大事なので、「データ・ファースト」でまずデータを第一に考えなければいけない。なので「データは民主化しない」(データを自由にさせない、ちゃんと制御する)と話しました。

また、Watsonを有効に活用していくためには、しっかりした業界の知識と経験がないと、十分にWatsonをトレーニングすることができません。金融や製造などの業界知識があり、セキュリティをしっかり確保しながらAIを使いこなせるのは、IBMだけであるとアピールしていました。

Blockchainについても、信頼のおける取引のためのビジネス・ネットワークに重要とメッセージしました。CLSという巨大金融機関でのお金のやり取りの管理や、ウォルマートでの国際間物流を例にあげています。ニュースとしては、これまでベータだった、オープンソースのBlockchain基盤、Hyperledgerがついにv1.0になり、IBMのBluemixで初めて商用化すると強調しています。

また、中国のWandaグループと協業して、中国でIBMのクラウドのサービスを開始するという話もありました。WatsonやBlockchainの他にGinniが基調講演で大事だと話したのは、以下の通りです。

  • IoT
  • 業界向け Hyrid Cloud ソリューション
  • 品質管理システム
  • Watson サーバー・セキュリティ
  • 量子コンピューティング

最初のゲストは、AT&T CEOのRandallさん。TMT・・Telecom- Media-Technologyに積極的に取り組んでいると話しました。スマホやタブレットで、動画やイメージといった大量のメディアを使っているユーザーをいかに取り込んでいくかが大事とのことです。そのために、AT&T社のコア・システムまでCloud化しているとのことです。また、Watson IoTにも取り組み、各拠点にセンサーを配備し、地域のネットワークのトラフィックを分析、ビジネスに生かすそうです。IoTセンサーはなんと、3千万コネクションあるそうです。そういったデータは本当に重要で、それを活用したValue Propositionが提供できるのは、IBMだけだと持ち上げてくれました。

次は噂のSalesForce.com CEO、マーク・ベニオフさん。登場後いきなり上のようにGinniと熱い抱擁がありました。IBM WatsonとセールスフォースのAIエンジン、アインシュタインの連携を発表しています。マーク・ベニオフは、AIの進歩が目覚しいのでIBMと組むことにした、IBMのような素晴らしい会社と一緒にやれるのはとても誇りに思うと、何度も繰り返していました。

次のゲストは上のH&R Block社。確定申告や税金控除に役立つアプリを、Watsonを使って実現しました。今年家を買ったとか、子供が生まれたとか、株を売ったとか、そういった情報を文字で入力すると、その人に最適な申告の方法や還付される税金のガイドをWatsonがしてくれます。賢いWatsonの使い方ですね。以下のように、どのポイントでどういった点がお得になるかを、分かりやすく示してくれます。

最後は、Girls Who Codeの代表が登場。女子学生のプログラミング教育を実施している会社です。大学でコンピューター・サイエンスを学んでいる女子がほとんど居なかったのに衝撃を受けて立ち上げたとのこと。実際に壇上に、女子学生のKarenさんたちが登壇し、経験談を話してくれました。こういった女子のIT進出が目覚しいですね!

InterConnectのような大きなカンファレンスは、企業がどの方向に向かおうとしているのか、何に力を入れようとしているのかがよくわかり、大変参考になりますね。

⇒InterConnectでの最新技術動向

⇒IBM InterConnect 日本の事例発表