IBM Watson Summit 2017 – ワトソン日本の実例

エリー・キーナン新社長の一声で幕をあけたWatson Summitですが、ソフトバンクさん・三井住友銀行さん・JR東日本さんが多数の ワトソン活用事例を話していただき、ワトソンも完全に実用期に入ったなという印象でした。

ソフトバンクの宮内社長は、ワトソンやITを活用したスマートワークで「働き方改革」に本格的に取り組んでいることを熱く語っていただきました。

コールセンターのオペレータの方がワトソンが活用したことで、対応時間が15%も短くなったそうです。今後はさらに効率化して、コールセンターのブースを 6000 から2000に減らしたいとおっしゃっていました。回答精度も78%から94%に上がったそうです。特に初心者のオペレータの方はとても良い助けになっているようです。

また、2000台のサーバーのネットワーク監視にもワトソンを導入し、だいたい月11回程度発生する問題に対し、メッセージをWatson NLCで分類し、Watson R&Rでランク付けすることで 最優先対応の項目を選定して対応しているそうです。ワトソンで優先度を判定するまでの時間が、なんとそれまでの1/10になったそうです!

さらにソフトバンクさんの店頭では既に、Softbank Brainというシステムにより、最適な料金プランをワトソンがアドバイスしているとのこと。宮内さんはこれらの事例を話していただいた最後に、この10年はスマホの時代だったが、これから10年はワトソンなどAIの時代になる。早くその波に乗った人が市場で勝てると、熱く語っていただきました!


三井住友銀行の谷崎専務も登壇いただきました。銀行は命の次に大事なお金を守る必要があるため、着実に堅くシステムを守っていく。しかしこれからは経営へのインパクトを考え、素早くかつ効率的な開発も 必要であると話されました。その一つの好例として、信用リスク計測にBluemixを活用した事例を紹介いただきました。

デリバティブは以下のように、一時的に大きなシステムリソースが必要になる時があるので、計算量に応じてスケールできるクラウドが最適とのことです。自社オンプレミスですと、ピーク時に合わせてたくさんサーバーを購入しておかないといけないですからね。

Bluemix Dedicateで自行だけの環境を用意することで、プライベートクラウドのような感覚でセキュリティも確保して使えるようになったとのこと。また、クラウド・ベンダーのロックインを避けてオープンな環境にしたいというのもBluemixを選定いただいた理由と話していただきました。

今回は、最新技術であるワトソンがメインテーマでしたが、面白かったのはパネル・ディスカッションのゲストの方々が一様に東京オリンピックの話をされたことです。JR東日本の小縣副会長は、東京オリンピックの時に新幹線というハードのインフラができたが、これからはAIでメンテナンスや予防保守をする時代だとおっしゃいました。

三井住友銀行の谷崎専務は、前回の東京オリンピックは、そこで使われたコンピューターを旧三井銀行で使うことで初めて銀行のオンラインができ、口座を開いた支店以外でもお金がおろせるようになったとお話いただきました。

前回オリンピックはそのようなハードのインフラ改革があったが、今度の東京オリンピックは「おもてなし」に象徴されるソフトのサービスが重要になるだろうとのこと。海外から多数東京に来られた時、ワトソンがより良いおもてなしをサポートしてくれるであろうと話していただきました。二つの異なる日本のインフラを支える大企業の方が、お二人とも新旧東京オリンピックの良い話をされたのがとても印象的なパネル・ディスカッションでした。

最後に日本IBM松永常務が、次の東京パラリンピックも見据えて、IBMフェローの浅川さんが視覚障害のある方が来られてもスマホで行き先案内をできるコグニティブ・アシスタントの実証実験を日本橋で実施したことを話しました。次のオリンピックは、ワトソンが世界の人をおもてなしすると考えると、なんだかワクワクした基調講演でした。

⇒IBM Watsonを活用した次世代超高速開発