IBM@NY – ニューヨークのIBM拠点

ニューヨークにあるIBMの各拠点を回ったので、ご紹介します。米国IBM本社はニューヨークのアーモンクというところにあります。上の写真の建物で、さすが荘厳な佇まいではありますが、いわゆる我々がニューヨークでイメージする、マンハッタンとは少し離れた場所になります。以下の地図を見てください。

地図の下の方にあるマンハッタン島に比べ、アーモンク (Armonk)は地図の中ほどにあります。そのため宿泊も前半はホワイトプレーンズ (White Plains)という町を拠点にして、そこからアーモンクなどに移動しました。アーモンクにある米国本社の中のロビーは以下のようになっています。我々以外にはほとんど人もおらず、かなり静かです。建物の周りも森のようで、シカやリスが普通に歩いているような場所です。日本企業の本社とはかなりイメージが違いますが、IBMの首脳陣はここから近くにある空港にプライベート滑走路を持ち、そこからプライベートジェットで世界を飛び回っていると聞いて、納得です。

今回のニューヨーク出張は、「IBM Technology Institute (ITI)」という日本のお客様をニューヨークのIBMの各拠点にご案内し、IBMの今後の戦略や最新のテクノロジーについてご紹介するというプログラムで、それに同行させていただいたものです。初日はこのアーモンクでIBMの今後の戦略についてお伝えするという内容で、この後4階のボードルームに移動してそちらでRed Hat社買収の意義とその後の戦略などの話が米国IBMの首脳陣からありました。そのボードルームは、毎四半期ごとにIBMのGinni Rometty会長から決算発表を実施して世界に配信する由緒ある部屋なのですが、撮影はNGだったため掲載する事はできませんでした。

翌日のツアーは、IBM Researchの総本山である、ヨークタウン (Yorktown)の Thomas J Watson Research Center です。WatsonはもともとIBMの創始者の名前ですが、AIのWatson同様、IBM研究所の総本山の名前もWatsonとなっています。ビルは以下のように3階建ての大きな美しい円筒形になっています。

最初に、このWatson Research Centerの中にあるThink Labで様々なIBM研究所の最新技術を見せていただきました。様々な物質や液体の成分を即座に分析し、ワインまでも真贋をチェックしてくれる”Visualizer”や、最新のBlockchain技術について話を聞けました。また、アメリカ人だけでなく、アイルランドの方など様々な国籍の方が説明してくれたのも印象的でした。

次はこのWatson Research Centerの中のツアーです。2011年にAIブームの火付け役として有名になった、アメリカのJoperdy! というクイズ番組で人間のチャンピオンに初めて勝ったAIのWatsonの実物が置いてあり、当時の様子を詳細に説明してもらえます。

また、以下のようにその時のクイズの回答席で記念撮影ができるコーナーもあります。研究所にしてはサービス満点ですね(笑)。それだけWatsonは、IBM Research全体にとって重要な金星だったことがわかります。

さらに、IBM Q という世界初の商用量子コンピューターも見学する事ができました。周囲の振動が伝わらないように美しいシルバーの筒が上から吊り下げられており、後ろには巨大な冷却装置が付いており絶対零度に近い-273度に保たれていました。こちらはまだ撮影NGとの事で掲載できませんが、以下のようにその内部構造の模型で解説員の方がその冷却機関について説明してくれました。金色に光っているのが無酸素銅という特殊な銅で、上からヘリウムを浸透させていく事で一番下の量子が入っている部分を冷却します。

世界最先端の量子コンピューター IBM Q の実物を目の前で見る事ができて、貴重な体験ができました。IBMの本拠地、ニューヨークならではですね。ただ、いよいよこの量子コンピューターも初めて海を渡って、日本の東大に設置される予定です。楽しみです。

3日目に訪れたのは、今回のツアーでは最北のポケプシー (Poukeepsie)です。以下のようにハドソン川というニューヨーク州を縦断する美しい川のすぐそばにある広大な敷地にある、IBM Z、つまりメインフレームの総本山です。

最初は以下のように「Z」の文字が象徴的な IBM Poughkeepsie Executive Briefing Center でIBM Zの最新技術動向について聞き入りました。IBM Z といえばやはり全てのデータを丸ごと暗号化してしまう「全方位暗号化」がポイントですが、その暗号化されたデータが、IBM Z のメインフレームから外に出しても暗号化されたままで、使う時だけ IBM Z が制御して暗号を解けるようになるという最新暗号化技術について聞き、参加者一同なんでそんな事ができるのか?と説明員に詰め寄るようなシーンもありました。

IBM Zの最新技術を聞いた後は、このポケプシーの広大な敷地の大部分を占める、メインフレーム工場の見学をしました。こんなにあるのかと驚くほどの数のメインフレームがマシンルームに並べられており、膨大な数のテストでチェックされていく様子を見る事ができます。一つずつのマシンを一年近くかけてテストしていくそうで、こうやってメインフレームの信頼性が守られているのだと感じました。

4日目は、ニューヨークの wework に移動しての、IBM Garage見学です。日本の IBM Garage も GINZA SIX の wework が拠点ですが、ニューヨークも同様で、ニューヨークの新スポットになりつつある ハドソンヤード (Hadson Yards) 近くのビルの wework でした。

wework のシェアオフィスの中は日本と同じような雰囲気で、ソファーがあってコーヒーやビールが飲み放題なのも同じでした。

ミーティングルームが、黒フチのガラス張りなのも似ていますね。この中で IBM Garage のリーダーから活動内容を紹介してもらいました。アメリカでも、wework などを使って普通のオフィスから飛び出して、いつもと少し違う環境でリラックスして新しいアイデアを出し合う事が重要視されているとの事でした。

IBMガレージの次は、IBMのAIである、Watsonの本拠地、アスタープレース ( Watson Astor Place) に移動しました

入り口の、ウン十億円と言われる赤いバルーンのオブジェが目印です。

中から外を見ると、見えるビルの多くは学校などが多く、文教地区になっているそうです。確かに、学生さんらしい人が多いです。AIを勉強している学生さん達に IBM Watson に入っていただくためですかね?

建物の中には以下のようなオシャレなバーもあり、コーヒーなども自由に飲めます。説明は先進的な設備でAIの最新動向の話を聞けましたが、撮影はNGのため興味のある方はぜひアスター・プレースにお越しください。

この日からは、マンハッタンの Parker というホテルに移動しました。セントラルパークに近い、Hyatt系の近代的なホテルです。入ってすぐ1Fの受付の横に以下のようなカーテンで仕切られている一角があったので、何かと聞いたら、ガイドブックにも載っている有名なハンバーガー・ショップ Burger Joint との事。実際に食べましたが、おいしかったです! でもこんなカーテンで仕切られていたら、知らないと入れないですよね・・確かに良く見ると奥にハンバーガーのネオンがあるし、人もたくさん並んでいましたが・・。

ちなみにこのホテルの朝食は、Norma’s という1階のレストランで食べられますが、ここの エッグベネディクト (Eggs Benedict) が名物で、パンケーキの上に卵が乗っててこれは超おいしかったです! お勧めです。

ホテル Parker はセントラルパークが近いので、お散歩しました。しかし、散歩というには広すぎて、迷子になりそう・・でしたが、目印の不思議の国のアリス像があって、助かりました。セントラルパークの周囲にある、超高級マンションを眺めているだけでも、楽しいですね。

そのセントラルパークの中ほどにある、メトロポリタン美術館に入ってみました。外見も以下のような荘厳な作りですが、中も世界中の有名な絵画や、南米の民族のお宝など、とても一日では周りきれないくらい充実しています。ちなみにさすがIBMはニューヨーク州の優良納税者のためか、IBM社員は社員証を見せたら無料で入れます。同行者も一名までは無料になるので、お客様と一緒に入りました。

個人的には、彫刻が素晴らしかったと思います。以下はメドゥーサの彫刻。

またIBM関連としては、このメトロポリタン美術館の中に以下の Thomas J Watson Library という図書館があり、 多くの貴重な資料が保存されています。

ニューヨークで印象的だったのは、ホテルの近くの トランプ・タワー ですね。トランプ大統領のビルという事で、多くの人が写真を撮っていました。旬な観光スポットになっています(笑)

また、少し時間があったので皆さんと観光もできました。ブルックリン橋の近くまで行ったところで、ニューヨーク水上タクシー乗り場があり、そこから船に乗る事で自由の女神も海から間近に見る事ができました ($19)。やっぱりこれを見ると、アメリカに来たなという実感が湧きます。

おなじ水上タクシーからマンハッタンを見たところです。

以下はブルックリン橋の下をくぐるところです。1883年に竣工したとのことで歴史ある橋ですが、とっても味わい深い橋という事で今また人気のスポットになっているそうです。

グランド・ゼロも見てきました。9.11 の惨劇の跡がだいぶ復旧してきていると感じましたが、白い花を供えている人も居て、風化させてもいけないなと思いました。

米国IBMの各拠点ツアーと、ニューヨークのいくつかのスポットをご紹介しました。この IBM Technology Institute の海外ツアーは毎年企画されておりますので、IBMのお客様はぜひご参加ください。日本とはスケールの違うIBMの大きさを感じていただけると思います。