IBMのクラウド系のカンファレンス、InterConnect 2017初日に様々な最新技術動向が発表されました。クラウドは、その上のデータとAIとアプリ(Apps)が重要とのことで、トップのフォトのようなそれを宇宙であらわしたイメージがよく使われていました。そこにいる人が、今回のホスト Arvind Krishna。昨年までのRobert LeBlancが退任するため今回からIBMのResearchとCloudを総指揮するArvindに変わりました。
そのArvindの前に登場したのは、何とTwitterのVP Chris Moodyさん。Twitterの最大の課題である、誹謗中傷(Abuse)をIBMのWatsonで見つけて解決したいと熱く語っていただきました。会場は以下のような感じで、まさにコンサート・ホールといった雰囲気です。
次にArvindが登場し、IBM Cloud戦略について語ってくれました。ちなみにブランド名としては最近、IBM Cloudで始まる名称に整理されています。そのクラウドでの全体のメッセージは、無理にまるごと全部クラウドに移行しろというのではなく、クラウドに適切なものをPublic Cloudに移行し、オンプレミスと統合していくというトーンでした。
IBM Cloudは、以下のようにDockerのコンテナやVMwareなどのプラットフォーム上に、それらを自動化するAutomation & Orchestrationが乗ります。その上にMQやKafkaなどによるインテグレーションや、マイクロサービスやNode.jsといったクラウド開発環境、さらにその上にAPI ConnectなどAPI接続基盤と、Watsonなど様々なAPI群が乗っている構造になっています。
最初の事例はアメリカン航空 (AA)。IBM Cloudは世界中にあるので選択したと言っていました。トラディショナルな会社ですが、開発改革を推進していて、デザイン思考やDevOpsを強力に進めているそうです。
次の事例は、Indiegogo。BluemixとそのWatson APIを活用して、アプリを開発しています。以下の右奥の人が持っている「スマート・プレート」がその一つで、お皿におかずを盛ってスマホで写真を撮ると、Watson Visual Recognitionで認識して栄養のバランスをチェックしてくれるそうです。面白い発想ですね。
次にセキュリティの脅威についての話がありました。現在は様々なセキュリティの脅威が存在し、ファイヤウオールや認証サーバーで守る従来のやり方だけではだめで、何かあった時にすぐに対応できる形にしておくことが必要とのこと。
そこで、新しいセキュリティ製品のIBM Security Immune Systemが紹介されました。膨大なセキュリティ知識をWatsonで学習し、攻撃パターンを分析して早急に対応が取れるようになります。Watson(AI)をどんどん製品やサービスに適用していく戦略の一番分かりやすい例ですね。
アプリケーションの例としては、特にブロックチェーンに時間を使いました。代表的な例が以下のEverledger。ダイヤモンドをブロックチェーンで管理し、盗難にあったり転売された際に、そのダイヤモンドの特徴から盗難品でない事をチェックできます。
分かりやすかったのは、以下のブロックチェーンの特徴をうまく生かすという話。ビジネス・ネットワークで複数企業による情報の共有と、資産(Asset)の管理、台帳(Ledger)による履歴の管理の3点が必要になるシナリオであると、ブロックチェーンがより生きるという解説がありました。
GinniからのBlockchainの大きな発表としては、IBMも力を入れているオープンソースの Hyperledger Fabric v.1.0 に関して、世界初の商用サービスを開始するというもの。Bluemixが入り口のサービスではありますが、その奥にあるのは実はメインフレームの堅牢性と強固なセキュリティをベースとしたLinux環境、LinuxONE上のHyperledger。以下のように展示コーナーにLinuxONEの実物が置いてありましたが、初めて見ました。これで、内部の人であっても暗号鍵や複合化されたデータを絶対にアクセスできない形で運用できます。
最後はゲストの Will Smith。映画で観る通り、ユーモアのセンスがあって面白い方ですね。最高の映画スターになりたくて、映画のTop 10を分析したら、8割がクリチャー系の映画だったのでそこに着目したとうエピソードを披露しました。そこで司会が「あなたもAnalyticsをしていたんですね」と聞いたところ、Willが「そう、俺がまさにWatsonだ！」と答えて場内爆笑でした！
以下に続きます。
⇒InterConnect 2017 Ginni Rometty基調講演