IBM Think – Blockchainの使い方が広がる

IBMのイベント Think 2018 にて様々な Blockchainのセッションに参加しましたが、仮想通貨だけでなく様々な分野に活用が広がっている事が分かりました。一番大きかったのは、トップのイメージのMaersk(マースク)社との国際貿易Blockchain。海運業者であるMaersk社とIBMで合弁会社を作り、世界中の貿易会社や港湾局をつないで、貿易の効率化を図るとのことです。

国際貿易はまだ、その20%は紙の手作業で取引を管理しているそうで、Blockchainを使うことでかなり効率化できると。確かに様々な国をまたがって取引を電子化しようと思っても、なかなかシステムを統一することは難しいと思われますが、そこでBlockchainを活用することで情報の共有化を実現するのは良いアイデアですね。

仮想通貨のビットコインの基盤テクノロジーとして有名になったBlockchainですが、こういった企業間の情報のやり取りの効率化や証跡の取得に活用することで今後さらに利用範囲が拡大しそうです。次に大きかった事例は以下の「Food Trust」。

上のような世界的な食料品会社が参加しているとのこと。その中で Walmart社の人が登壇して説明してくれましたが、食物が農家で作られてから、船などで運ばれ、Walmartなどの店頭に並び、各家庭のテーブルに乗るまで、どのような経路で届けられたか、これまで調べるのに一週間かかっていたものが数秒で分かるようになったそうです。

このようなシステムが普及すると、何かあっても原因の追究が即座にできるようになり、我々も安心して食材を口にすることができるようになりますね。

仮想通貨に近いですが、世界的な環境への取り組みとして紹介されたのは以下の「プラスチック・バンク」。世界的に問題になっている廃棄プラスチックを少しでも減らそうと、企業が出資して作られた仮想銀行です。最近廃棄プラスチックが海に流出しても完全に消えてなくならず、小さなマイクロプラスチックの粒になって魚に取り込まれることで、それを人間が食べるなど環境問題が深刻になっているため、この取り組みは重要ですね。

企業や個人は、不要なプラスチックを破棄するのではなく、プラスチック・バンクに持ち込むと、仮想通貨に換えてくれます。それなら企業などは破棄するのではなく、仮想通貨をもらいたいですよね。その仮想通貨はお金に換えることができますが、そこに環境保全に熱心な企業が投資しているそうです。中にはプラスチックを作っている会社もあり、プラスチック・バンクに投資することで自社のプラスチックの回収率を上げようと試みているところもあるようです。

このIBM Thinkのイベントで IBM Cloud 上のサービスとして、IBM Blockchain Platform の廉価版である IBM Blockchain Platform  Starter Plan というのが発表されたので早速以下のように使ってみました。この Starter Planはまだベータ版なので、5月までは無料で使えるそうです。5月以降の正式版では有料ですが、それでも月数万円とのこと。本番用というよりは、開発やPoC用とのことですが、安くお試しできるのは良いですね。IBM Blockchain Platform を使ってみるには、まずIBM Cloudにログインしてください。(完全無料のライトアカウントではなく、通常のIBMidアカウントでログインすることで無料で使えます)

⇒無料でIDを作成

IBM Cloudでログインして、IBM Cloudの南米にアクセスし、そのカタログから以下の Blockchainのサービスをクリックします。

すると、以下のように「スターター・メンバーシップ・プラン(ベータ)」が表示されますので、それを選択し「作成」します。

以下のように「ネットワークが作成されました」と表示されたら、もうIBM Blockchain Platformである、Hyperledger Fabric(オープンソース)のサーバーが構成されています。ここで「起動」をクリックします。

すると、以下の画面のようにすぐに Blockchainのいくつかのサーバーが稼動していることが確認できます。あっけないくらい簡単に、Blockchainのサーバー群が動きます。

上記のうち、「ピア(peer)」というのが、いわゆるHyperledger Fabricのサーバーの1ノードであり、「順序付けプログラム(orderer)」 というのが、幾つかのノードの間で順序性を確保するためのサーバー。CAというのがアクセスを許可するための証明書を発行する認証サーバーです。これらがセットで一つのBlockchainネットワークを構築され、これが複数メンバー動くのがBlockchainです。メンバーを見ると最初は、以下のCompanyのAとBという二つのメンバーが稼動していました。

ここでBlockchainのアプリケーションを作成し、動かすことになりますが、最初はいきなり一から作るのも大変なのでサンプルでやってみることができます。以下の二つが用意されていますが、「マーブル」はビー玉のサンプルで、ビー玉を通貨のような資産に見立てて、こっちからこっちに移動させるとそれが Blockchainのブロックに書き込まれて・・・といったとてもイメージしやすいデモになっています。

ぜひ皆さん、IBM Blockchian Platformの スタータープランを試してみて、Blockchainを実感してみてください!

⇒ IBM Think 2018 – Ginni会長による基調講演

⇒ IBM Think 2018 – AIはデータが鍵 – 目玉はWatson Studio

⇒ IBM Think 2018 – イベントで見えたIBM Cloudの方向性